『数学の世界地図』(古賀真輝,KADOKAWA,2023年)の各項目の参考文献を掲載します.興味を持った分野について学習するための手引きとしてご利用ください.(書籍のリンクはすべてAmazonへ通じます).
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数学初心者(中学生以下)
高校生向け
理系大学生向け
数学科学生向け
院生以上向け
第1項 線形代数
- 『線形代数入門』(斎藤正彦,東京大学出版会)
難度
いわずと知れた名著.古賀もこの本で最初は勉強しました.流れるように読むことができるが,1966年刊行と少し古いのと,ジョルダン標準形は単因子論を用いているところが少し欠点です.その欠点をも克服したのが次の本です. - 『斎藤正彦 線形代数学』(斎藤正彦,東京図書) おすすめ!
難度
上述.
第2項 群論
- 『代数学1 群論入門』(雪江明彦,日本評論社)
難度
古賀もこの本で最初に勉強しました.シローの定理までの群論の基本的なことが学習できます.3,4,5次方程式の話題など,なぜ群論を勉強するのかについて書かれている章もあります.
第3項 環論
- From Numbers to Rings: The Early History of Ring Theory(Israel Kleiner, Elemente der Mathematik 53(1), 1998, 論文,英語) おすすめ!
難度
環論の歴史が,コンパクトに明解にまとめられていてたいへん勉強になります.
第4項 体論
- 『作図できる数,できない数』(志甫淳,PDF)
難度
作図可能数についてのPDFです.本書では主にこのPDFの前半内容を説明しました.後半では,体論を使って作図可能な正$n$角形の話などもされています.
第8項 表現論
- Representation theory and geometry – Geordie Williamson – ICM2018(ICM講演,YouTube,英語)
難度
本書でも登場した例は05:50ごろに登場しています.冒頭の方で表現論のコンセプトが説明されているので,英語で数学を理解できる方にはぜひおすすめです.最後の方は私にも難しい…
第9項 位相空間論
第10項 多様体論
- 『多様体の基礎』(松本幸夫,東京大学出版会) おすすめ!
難度
多様体を学ぶなら,まずはこれという本.非常に平易にかかれていて,スラスラ読めることで有名です.大学の多様体論の講義で教わるような内容は一通りのことを学ぶことができます.位相空間に慣れていなくても,最初の「準備」を読むことで,必要最小限のことは学ぶことができます. - 『多様体入門』(松島与三,裳華房)
難度
こちらはかなり難しい多様体の入門書です.教授曰く,最後まで読むと研究していく上で必要な知識も学ぶことができるそうです(私は読めていない…).
第12項 微分幾何学
- 『曲線と曲面の微分幾何 』(小林昭七,裳華房)
難度
曲線・曲面論についての名著.一般的な多様体論に基づいた微分幾何学ではなく,ユークリッド空間内での微分幾何学なので,ベクトル解析くらいの微分積分学を分かっていれば,読むことができます.どんどん計算ができるので面白い. - 『曲率とトポロジー』(河野俊丈,東京大学出版会)
難度
上と同じように,最初は曲線・曲面論であるが,その後双曲幾何を扱って多様体を導入し,本格的な微分幾何学へと続く.ポアンカレ予想(微分トポロジー)についての解説や相対性理論などの物理学の解説も述べられており,非常に満足度の高い本となっています.
第23項 数理論理学
- ゲーデルの不完全性定理 / 証明不可能性を証明する(Kihara Lab (Math & Logic),YouTube) おすすめ!
難度
恐ろしくわかりやすい.特に「完全」と「無矛盾」を理解するにはこの動画を見るとよいでしょう.不完全性定理の証明も別で2本動画があります.難しい概念は置いておいて,大雑把に理解すれば高校生でも理解できると思います.